Blue Öyster Cultに関する素晴らしい本を2冊ご紹介します。Blue Öyster Cultマニア向けの本です。2冊とも軽い気持ちで読め飛ばせるようなものではありません。長く、内容が濃く大変充実しています。 Blue Öyster Cult の作品に興味のある方には、2冊ともお勧めしたいと思います。
まず1冊目。Holm-Lupo氏が手掛けた、アルバムレビューを中心としたバンドの楽曲、歌詞への考察が書かれた本です。
タイトル 『 Blue Öyster Cult : every album, every song (On Track)』
著者 Jacob Holm-Lupo
出版社 Sonicbond Pub (2019/6/28)
ペーパーバックです。158ぺージの洋書です。著者の Holm-Lupo氏はノルウェイ人のギタリストでWhite Willowというプログレロックのバンドで活躍されていたミュージシャンです。(不勉強で恐縮ですが、管理人はこのバンドを知らずにおりまして、今回初めて曲を聞きました。管理人が普段愛好してるヘヴィ・メタルとは全く異なるタイプの音楽でしたが、洗練されていて面白い楽曲だと新鮮に感じました。)
こちらの本は、タイトル通り、2019年までにリリースされた Blue Öyster Cultのアルバムと収録されている曲について、Holm-Lupo氏が時系列で作品毎に解説をいれていくというスタイルで進行します。昨年リリースされたThe Symbol Remains以外の作品は含まれています。
この書で特に良いと感じる特徴は、ソングライティングや演奏についてのHolm-Lupo氏の深い洞察です。ご自身が熱烈な愛好家であり、プロのミュージシャンだからこそ紡ぎだされる言葉である。と、読むたびに私は感心します。「~の音の作り方をしていますね」のような記述は、演奏の素人の私には全く思いつかないもでのす。本を通して、曲を理解し深く聞くためのヒントをたくさんいただけたと思います。バンドのメンバー、実際にバンドの周辺で活動を共にした方々の見解に氏の洞察がかみ合ったものであるので、Holm-Lupo氏の独奏会のようではないということも申し上げておきたいです。
特に興味深いと感じたのが、 Holm-Lupo氏のAstoronomyについての考察でした。Astronomyは、ある意味、究極の Blue Öyster Cult の世界です。天文学であり、物理学であり、黙示録的でもあります。今まで多くの熱心なカルトマニアの方々が歌詞の和訳を試みておられました。いくつも読ませていただきましたが、皆さまの鋭い感覚と高い語学力には驚かされたものです。その中で、まだどなたもおっしゃってなかったと思いますが、私が漠然としてはいるものの確固たる曲の個性として感じとってたものが1点ありました。非科学的な話なため、今まで公言してなかったのです。それは、この曲の持つ乙女座的要素です。(Astronomyの歌詞について話始めるとかなり長くなりますので別の機会にいたします。)私が感じとった乙女座的な要素について、Holm-Lupo氏は別の言い方で言及しておられるのです。とても美しい文章です。私は地球の反対側に同志を見つけたような気がして、とても嬉しい気持ちになりました。
このような世界に「これが正解!」はありません。が、時間と労力をかけて筆者が本を書かれたことは、はっきりとわかります。本の中央には、Blue Öyster Cult のアルバムジャケットの一覧(カラー)と解説コーナーもあります。バンドの今昔がわかる画像、ライブの宣伝写真なども。作品がリリースされた順に読んでいくのも楽しいですし、曲にについて理解を深めたいときに字引を引くように本に戻ってくるのもアリだと思います。バンドのメンバーのゴシップや個人的な浮ついたエピソードなどは一切書かれてませんでが(そのようなものを期待して読み始めると、つまらないと感じると思いますが)作品の紹介と考察に特化した超真面目でとても面白い一冊です。
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