「Blue Öyster Cultは元祖ヘヴィ・メタルなのにヘビメタじゃないじゃん」以外にも私が、音楽好きの方々から複数回受けた質問があります。「Blue Öyster Cultには何人ボーカリストがいるのか?」です。
このような質問が出てきてもおかしくないと私は思います。ヒット曲 “(Don’t Fear) The Reaper”と “Burnin’ for You”、 彼らの代表曲である”Astronomy” の歌い手は違います。前情報なく曲を聞いていて、同じバンドであることを即座にわかる人はどれだけいるのか?耳の超えたロックファンなら「あの特徴あるギターソロはバック・ダーマ」とすぐに識別がつくかもしれませんが、普通はそこまで意識して曲を聞かないと思います。以下、皆さまの疑問 「Blue Öyster Cultにはいったい何人ボーカリストがいるのか?」 について具体的にお話します。
答えから先に。オリジナルメンバーで構成されたBlue Öyster Cultのボーカリストは5人。つまり、バンドメンバー全員がメインボーカリスト。全員が、最低1曲はメインボーカルを担当しています。これはかなりレアなケースだと思います。というか、こんな無茶なことをするバンドは他にないと思います。私は、Ericが半分強の曲でボーカルを担当していると感覚的にとらえてましたが、実際はどうなのか?を知りたくて、作品毎に調べてみました。
<検証の前提、期間>
メンバーが固定されていた時期、バンドオリジナルメンバー5人全員が在籍した時期の作品についてのみで考えてみます。1972年リリースの1st Blue Öyster Cult から 1981年リリースのFire of Unknown Originまでです。ライブ盤2枚が含まれその分は重複カウントとなりますが、そのまま採用。リマスター版が多く出すぎで曲が重複しかねないため、オリジナル盤に含まれる曲のみカウント。インスト曲の”Buck’s Boogie”は除きました。
<バンドオリジナルメンバー>*バンドスタート時のメンバーです
Eric Bloom エリック・ブルーム (1969- )
Donald “Buck Dharma” Roeser ドナルド “バック・ダーマ” ローザー (1967- )
Allen Lanier アラン・レイニア (1967-1985, 1987-2007, 2012) R.I.P.2013
Albert Bouchard アルバート・ブシャ―ル (1967-1981, 1985)
Joe Bouchard ジョー・ブシャール (1970-1986)
<デビュー盤から1981年まで発表されたアルバム>
1972 Blue Öyster Cult 狂気への誘い
1973 Tyranny And Mutation 暴虐と変異
1974 Secret Treaties オカルト宣言
1975 On Your Feet Or On Your Knees 地獄の咆哮 (ライブ盤)
1976 Agents Of Fortune タロットの呪い
1977 Spectres スペクターズ
1978 Some Enchanted Evening 暗黒の狂宴〜B.O.C.ライヴ (ライブ盤)
1979 Mirrors ミラーズ
1980 Cultösaurus Erectus カルトサウルス・エレクタス
1981 Fire Of Unknown Origin 呪われた炎
集計結果は以下の通りです。全91曲でEricが半数強を担当。次に多いのがDonaldで20%弱、ブシャール兄弟はそれぞれ約10%、キーボードのAllenが1曲。共同クレジット、つまり、共同ボーカルとなっている曲が4曲(カウントはライブ盤の重複で5曲となっています)あることも、特徴的です。
Eric | 50 | 55% |
Donald | 16 | 18% |
Albert | 10 | 11% |
Joe | 9 | 10% |
Allen | 1 | 1% |
Joe, Eric | 1 | 1% |
Eric, Donald | 2 | 2% |
Eric, Albert | 1 | 1% |
Eric,Albert,Joe | 1 | 1% |
91 |
それぞれが担当している曲(の一部)を以下に記載しました。良く知られている曲をあげています。誰が歌ってもボーカルがハイクオリティであり、Blue Öyster Cultらしさが出ることは流石だと管理人は感じます。
Eric
Transmaniacon MC, The Red & the Black, Astronomy, Black Blade, Veteran of the Psychic Wars
Donald
Then Came the Last Days of May, (Don’t Fear) The Reaper, Burnin’ for You
Albert
Cities on Flame with Rock and Roll, Dominance and Submission, Death Valley Nights
Joe
Hot Rails to Hell, Moon Crazy, Vengeance (The Pact)
Allen
True Confession
Joe, Eric
Wings Wetted Down
Eric, Donald
Godzilla
Eric, Albert
Career of Evil
Eric,Albert,Joe
Cagey Cretins
調べてみて実感しました。Blue Öyster Cultのオリジナルメンバー、なんという多才さ!器用さ!そしてチャンレジ精神!しかし、ここでもバンドのメンバーはメタ認知的に、斜に構えて上から笑っているようですね。「あのバンド誰がメインボーカリスト?何人ボーカリストいるの?」というロックファンの戸惑う姿を見て「おいおい、ボーカリスト固定制なんて、宇宙の法則の経典には書いてないんだぞ。全員交代で歌ってやるよw」こんなメンバーの冗談が聞こえてきそうです。
改めて、バンドオリジナルメンバーと担当パートをご紹介します。全員ボーカルです。
Eric Bloom エリック・ブルーム – ボーカル/ギター/キーボード (1969- )
Donald “Buck Dharma” Roeser ドナルド “バック・ダーマ” ローザー – ボーカル/ギター (1967- )
Allen Lanier アラン・レイニア- キーボード/ギター/シンセサイザー/ボーカル (1967-1985, 1987-2007, 2012) R.I.P.2013
Albert Bouchard アルバート・ブーチャール – ドラムス/ボーカル (1967-1981, 1985)
Joe Bouchard ジョー・ブーチャール – ベース./ボーカル (1970-1986)
2020年にリリースのThe Symbol Remainsでは、ギター、キーボード、プログラミング担当しているRichie Castellanoがボーカルを3曲担当しています。Richieは管理人よりも″9歳も”若いことを知り驚きましたが、歌の巧さには度肝を抜かれました。脱帽です。Blue Öyster Cultの隠された秘密の最終兵器は、Richieのボーカルなのかもしれませんね。若いRichieを目立つポジションに立たせたEric、Donald両氏の英断も素晴らしい思います。
コメント