Blue Öyster Cultの『Astronomy:天文学』対訳の解説⑥デスディノーヴァの名前の由来、飼い犬、Astronomy- A Starの真意 

ブルー・オイスター・カルト(Blue Öyster Cult)

前回の続きです。「天文学」のエンディングについて語ります。

Call me Desdinova
Eternal light
These gravely digs of mine
Will surely prove a sight
And don’t forget my dog
Fixed and consequent

わたしの名はデスディノーヴァ 
永遠なる光 
荘重な仮住まいである地球が
結末を証明してくれるだろう
そうだ 犬を忘れないように
犬星は動じずそして必然的

先に対訳を載せた都合上、デスディノーヴァは、デスディノーヴァがと名前を出して進めてまいりました。

重要な点なので再度申し上げます。デスディノーヴァの名前が初めて出てくるのはエンディングの節なのです!!ここまでは匿名の第三者の語りとして進行します。最後の節で”Call me Desdinova”「わたしの名はデスディノーヴァ」と種明かしがされます。初めて曲を聞くファンは、ここで椅子から転げ落ちるような衝撃を受ける算段でしょうか?ええええ、レコードジャケット裏の、地下帝国の大使と条約を締結した外相デスディノーヴァってこの人だったの?とわかる仕掛けになっているのです。

“Desdinova”から私がまず連想したのは、シェイクスピアの戯曲『オセロ』のオセロの妻、デズデモーナ(Desdemona)です。デスデモーナはオセロの部下イアーゴーの企みによりキャシオーとの不貞をオセロに疑われ殺されます。デスディモーナはギリシア語で不運なの意味。nova は新星のこと。”Desidinova”は不運な新星、不幸を呼ぶ新星といったことろでしょうか。なんとも不吉な感じがする名前ですね。自らを”Desdinova”そして”Etarnal Light”であると。”Eternal Light”は曲の前半でも出てきました。自ら光を発する一番明るい一等星、おおいぬ座のシリウスではないかと推察しましたね。シリウスはその明るさをもって古代から農業や航海、旅で人間を導いてきた星。知恵を授けてきた星ともいえます。デスディノーヴァは自らをシリウスであると例えています。一つ前の節を思い出していただきたいです。デスディノーヴァの「そんな星に遣わされたのがこのわたし」と、元々は宇宙人であったとの告白。かなり強引な解釈になりますが、デスディノーヴァはシリウス生まれ、シリウス星人ではないか。最後に”don’t forget my dog Fixed and consequent”と言っているから。デスディノーヴァの犬がシリウス出身で、星からの叡智、starry wisdomを保有しているという設定が定説ですが、もう少し飛躍して、デスディノーヴァも犬もシリウスからやってきたというのもありかなと管理人は思うのです。

“These gravely digs of mine Will surely prove a sight”について。これは少しわかりづらいと表現だと感じます。”gravely”は副詞ですがここでは名詞の”digs”の直前に置かれて、形容詞的に使われています。”digs”は仮住まいを意味しますから「私の荘重な仮住まい」となります。宇宙出身のデスディノーヴァにとっての仮住まいは地球です。よって、「地球(自身)が結果を証明していくれるだろう」と訳しました。一つ前の節では、デスディノーヴァは地球をかなり厳しく評価していました。「危機の中枢」「嵐の源」「絶望的に時と遭遇する場所」と。その評価が正しいかどうかは、未来の地球を見ればわかるだろうと。デスディノーヴァは、地球は滅ぼされる運命だとは言ってません。地球の将来は地球人次第であると。ここで平仄が合いますね。ここの文言からも、デスディノーヴァの地球への屈折した愛着を管理人は読み取りました。

“Fixed and consequent”は文字通り解釈しました。「動じずそして必然的」です。これは、おおいぬ座のシリウスが地球人に対してはたしてきた役割をそのまま伝えていると思います。曲の前半に出てきた問い「知の源泉を知りたい」ためには、動じずそして必然的であること。不安定で自ら光を放たない月や地球と違い、浮ついたものがない、理通りである、そうとしかなりようがないシリウスの在り方。starry wisdom、星からの叡智だということではないでしょうか?

以上を踏まえて、有名すぎるエンディングを次のように訳しました。

Astronomy
A star
Astronomy
A star
Astronomy
A star
Astronomy
A star


星からの叡智である天文学
一つの星 
星からの叡智である天文学
一つの星
星からの叡智である天文学
一つの星
星からの叡智である天文学
一つの星


宇宙からみたら地球なんてただの星にすぎない
地球も宇宙の仲間なんだ!
星からの叡智である天文学 地球もその理にかなう


カルトファンの方々が全て正しい解釈だと思います。シンプルで力強く、印象的なエンディングはリスナーの次第で、無限の解釈ができるようになっているのです。管理人はそうように感じました。ここにもBlue Öyster Cultが知性派のヘヴィ・メタルであると言われる所以があると思います。デスディノーヴァ(イマジノス)はバンドをの作品を象徴するようなキャラクターだと管理人は捉えています。ニューイングランド生まれの地球人であり、女友達と軽口をたたく一面もあり、改造人間でもあり、錬金術にはまっていて実験を繰り返すが結果を出せず、レザンヴィジブルに揶揄われ、外相でもあり、世界大戦を引き起こした邪悪な存在でもあり、宇宙最強の叡智を持つ犬を飼っている・・・量子的な存在なのです。 Blue Öyster Cultの楽曲も然り。聞く度に違う色彩、印象をリスナーに与える。だから何年聞いても新しい発見があり、飽きないのでしょう。

これで『天文学』の解説は終わりです。お付き合いいただきありがとうございました。次は『天文学』の一つ前の曲、『地獄の炎』に取り組む予定です。『地獄の炎』は劇的な要素満載の素晴らしい曲です。ファンには人気があり日本でシングルカットされましたが、曲のエンディングで最高潮に盛り上がるところがシングルではフェイドアウトでぶち切られ、意図的に間違えたか?と思うほどのレコードの歌詞カードで・・・何かと謎が多いのです。まず、対訳を載せてそして解説を入れていきたいと考えています。

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