Blue Öyster Cultの『Flaming Telepaths:地獄の炎』解説② Japanese translation and my thoughts about “Flaming Telepaths” 劇的なエンディングについて。日本盤EPのご紹介。

ブルー・オイスター・カルト(Blue Öyster Cult)

前回の続きです。ブルーオイスターカルトの『地獄の炎』後半について語り、日本盤EPをご紹介します。
<前半>
Well I’ve opened up my veins too many times
And the poisons in my heart and in my mind
Poisons in my bloodstream
Poisons in my pride
I’m after rebellion
I’ll settle for lies
Is it any wonder that my mind’s on fire 
Imprisoned by the thoughts of what to do
Is it any wonder that my joke’s an iron
And the jokes’ on you
<後半>
Experiments that failed too many times
Transformations that were too hard to find
Poisons in my bloodstream
Poisons in my pride
I’m after rebellion
I’ll settle for lies
Yes I know the secrets of the iron and mind
They’re trinity acts, a mineral free
Yes I know the secrets of the circuitry mind
It’s a flaming wonder telepath
Well I’ve opened up my veins too many times
And the poisons in my heart and in my mind
Poisons in my bloodstream
Poisons in my pride
I’m after rebellion
I’ll settle for lies
Is it any wonder that my mind’s on fire
Imprisoned by the thoughts of what you do
Is it any wonder that the joke’s an iron
And the jokes on you
And the joke’s on you
And the joke’s on you
And the joke’s on you
And the joke’s on you
And the joke’s on you
And the joke’s on you
And the joke’s on you
And the joke’s on you
And the joke’s on you
And the joke’s on you
And the joke


そうだね わたしは静脈を何度も何度も開いてしまったんだ
そしてわたしの心も頭脳も毒されている
わたしの血流の中に毒がある
わたしの誇りの中に毒がある
わたしは反乱が終わってから追いかける人間だ
嘘でごまかそうとするだろう
わたしの理性が燃えていることになんの疑念があろうか
すべきことへの思索に囚われている
わたしの冗談がテッパンであることに不思議はない
そして 揶揄われているのはあなただよ
<後半>
何度も何度も実験に失敗した
あまりにも難しすぎてトランスフォーメーションはできなかった
わたしの血流の中に毒がある
わたしの誇りの中に毒がある
わたしは反乱が終わってから追いかける人間だ
嘘でごまかそうとするだろう
そのとおり わたしは鉄と頭脳の秘密を知っている
三位一体の行為であり、ミネラルフリーだ
そのとおり わたしは電気回路構成頭脳の秘密を知っている
それは燃えるような驚嘆すべき精神感応者
わたしは静脈を何度も何度も開いてしまった
そしてわたしの心も頭脳も毒されている
わたしの血流の中に毒がある
わたしの誇りの中に毒がある
わたしは反乱が終わってから追いかける人間だ
嘘でごまかそうとするだろう
わたしの理性が燃えていることになんの疑念があろうか
すべきことへの思索に囚われている

わたしの冗談がテッパンであることに不思議はない
そして 揶揄われているのはあなただよ
そして 揶揄われているのはあなただよ
そして 揶揄われているのはあなただよ
そして 揶揄われているのはあなただよ
そして 揶揄われているのはあなただよ
そして 揶揄われているのはあなただよ
そして 揶揄われているのはあなただよ
そして 揶揄われているのはあなただよ
そして 揶揄われているのはあなただよ
そして 揶揄われているのはあなただよ
そして 揶揄われているのはあなただよ
だから 冗談だって

後半では、錬金術師の苦悩のエピソードが追加して語られています。トランスフォーメーション実験に失敗し続けたと明確に述べられているのです。実験の詳細も描かれています。

“Yes I know the secrets of the iron and mind
They’re trinity acts, a mineral free
Yes I know the secrets of the circuitry mind
It’s a flaming wonder telepath”


そのとおり わたしは鉄と頭脳の秘密を知っている
三位一体の行為であり、ミネラルフリーだ
そのとおり わたしは電気回路構成頭脳の秘密を知っている
それは燃えるような驚嘆すべき精神感応者


錬金術師は、頭脳に電気回路構成を試みようとしていたようです。”trinity acts”という文言から、錬金術師がこの実験を神聖なものと位置づけていることが伺えます。三位一体とは、キリスト教で、父(神)と子(キリスト)と聖霊は、一つの神が三つの姿となって現れたものであるという考え方です。三つの別々のものが緊密に結びつくことも意味します。錬金術師にとっては、神聖な行為であり命懸けなのでしょう。

エンディングに向かって曲は徐々にスピード感を増します。メロディとリズムが絡み合いながら、もつれ合いながらぐるぐると取っ組み合いを続けていくような印象です。”And the joke’s on you”に乗り、繰り返しながらクライマックスへと。そして、最後の”And the joke”で突然の終幕を迎えるのです。曲がいきなり終わり、リスナーが涙を流すひまも余韻もなく、『天文学』のあの有名なイントロが始まるのです。

エンディングでアクセルを踏むようにスピードを加えて曲が展開していく様から、管理人はあるインスピレーションを得ました。ここから先は(割と合理的に説明できる)妄想の世界です。もしご興味があれば続きをお読みください。エンディングで歌われているのは”And the joke’s on you”のフレーズだけ。「揶揄われているのはあなただよ」がリピートされています。先の記事でお伝えしましたが、ここで揶揄われているのはデスディノーヴァで、揶揄っているのはレザンヴィジブル。トランスフォーメーション実験を何度もしくじっていたデスディノーヴァはレザンヴィジブルから揶揄われているのです。揶揄う前提として、デスディノーヴァは自分の出自を理解してないままレザンヴィジブルに騙されたことがあり、つまり、2重に馬鹿にされている状態です。

スピードに乗って繰り返される呪文のように続くメロディからは、電気回路構成頭脳実験が想像されます。電気回路が回るような様ですね。それがいきなりぶった切られる。私はこう思わずにはおられません。デスディノーヴァがついにやってしまったんだろうと。何を?実験の成功です!最後のJokeで曲が終わるところ、楽曲が最高潮になるところ、そこで大きな玉がはじけて新しく生まれるような印象を私は受けるのです。はじけたときに、デスディノーヴァは実験に成功した。つまり、宇宙最強の頭脳を得ることができた。そんなデスディノーヴァには見えてしまったのではないか?自分の出自のすべてが。宇宙人なのに地球人と思いこまされていた。自分を派遣した同じ宇宙人仲間のレザンヴィジブルに死の淵で騙されて改造人間になった。地球を破滅へと導くお手伝いをさせられていた。こんな哀れな自分を宇宙人仲間のレザンヴィジブルは鉄板ネタにして笑っていた。このストーリー全容が見えてしまったのではないか?と管理人は妄想します。

そのように考える根拠として、この曲と次の曲『天文学』が一つの楽曲のように扱われていることがあります。『地獄の炎』の錬金術師デスディノーヴァ、『天文学』のデスディノーヴァ、同一人物なのに描かれ方が全然違いますね。『地獄の炎』は日和見主義の失敗続きな人間、『天文学』では万能感たっぷりの終末論者、まさに対照的です。とすると、『地獄の炎』の最後で何かがあったと考えるのが自然ではないでしょうか?人格が激変する何かがあったのです。何かとは?ここで題材となっているのが錬金術ですから、実験中に何かがあったと考える。実験前はダメダメ、実験の後の曲では万能感たっぷり。ということは、実験で大成功し特殊能力を得て別人格になったと考えるのが妥当ではないか?このように管理人は結論づけました。

『地獄の炎』の楽曲と歌詞がどうしてこれほどに心を打つのか?それは、デスディノーヴァの悲劇の物語のクライマックスであり、到達地であるからだと私は思います。『天文学』はエンディングではなくて、『地獄の炎』で悟りを得たデスディノーヴァの再スタートの物語。『地獄の炎』はデスディノーヴァの悲劇を煮詰めて遠心分離させ再生へのエッセンスを取り出した曲である。これが私の考察です。

読者の皆様におかれましては、妄想にお付き合いいただきありがとうございます。ここで、現実に戻り『地獄の炎』の国内盤シングルレコードを紹介いたします。『地獄の炎』の国内盤シングルレコードは1974年にリリースされました。A面が『地獄の炎』B面が『邪悪の歴史』です。『地獄の炎』は5分20秒の長めの曲ですが、シングルレコードでは正味3分57秒。シングル盤に乗せるために曲を短くする必要があったのでしょう。シングル盤ではこのようになっています。後半パートを丸々すっとばし、シンセサイザー、ピアノ、ギターソロの後、エンディングに移ります。そして、2回目の”And the joke’son you”の後いきなりぶった切るように曲が終わるのです。初めて聞いたときは、何かの間違いじゃないか?と感じました。ネットで調べたところ、国内盤シングルについて同じようにおっしゃるするカルトファンがいました。不良品ではなく、やはり、このような仕様なのでしょう。また、ジャケット(紙)の裏面に印刷された英語の歌詞には間違いが多く、これもどうしたものか?と感じました。

しかし、改めて解説を読んで感じました。今とは時代が違ったからだと。“ロック2世””ロックによる体制崩壊は無意味”という文言がありますが、正直なところ私にはピンとこなかったのです。『地獄の炎』がリリースされた1974年に管理人は3歳。物心がつくかつかないかの幼少期です。母親が編んだを帽子をかぶって、白黒テレビで放映される幼児番組を見て踊った記憶があります。まだ物がない時代です。そのころに海外のバンドとやり取りをすることは容易ではなかったはずです。FAXすらなく、タイプで打った手紙でのやりとりでしょう。国際電話もオペレータを通して行っていたはずです。今よりもはるかにコストがかかります。当時は若手だったBlue Öyster Cultの国内シングル盤を一枚リリースするのは大変な荒業だったと思うのです。

途中で曲をぶった切っていても、印刷された英語の歌詞が間違っていても、本場のかっこいいロックを日本の若者に届けたい!という当時の業界の方々の意気込みはものすごく感じました。先輩方のご苦労があっこそ、今の世の中で自由にロックを楽しめる私たちがいると思います。本当にありがたいですね。今回もお付き合いいただきありがとうございました。引き続きお付き合いいただければ幸いです。

1974年当時、国内盤EPは500円だったのですね。当時週刊誌が130円程度だったことを考えると、やはり、シングル盤で500円は高価だと感じます。




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