Blue Öyster Cultは “thinking man’s heavy metal” 「知性派が好むヘヴィ・メタル」③

ブルー・オイスター・カルト(Blue Öyster Cult)

前回の記事からの続きです。Blue Öyster Cultは1967年頃にSandy Pearlmanによって見いだされ、形づけられて、世に出たバンドです。初期の作品にはSandyの影響があったというより、彼が表現したかったことがそのままバンドを通してあらわれていたと解釈するほうが正しいでしょう。

Sandy Pearlmanは、当時、ニューヨークのStony Brook大学の学生でしたが、大変有能で野心があり、尖がった人物だったようです。音楽雑誌のライターでありながら、哲学者であり詩人でもありました。 Blue Öyster Cultは Sandy自身の、H.P.ラブクラフトからポスト・モダニズムまで幅広く影響を受けて成り立った秘教的世界観を表現するというコンセプトで1967年にスタートしたロックバンドとしてなのです。Sandyだけでなく、同業者のRichard Meltzer、後に著名なミュージシャンとなるPatti Smithなど多くの仲間が歌詞に関わっていました。スタート時の歌詞には、Sandyと多くの仲間の世界観がダイレクトに反映されていたと思います。そして、多様で難解な世界観を反映した歌詞はそのまま彼らの伝統となりました。Sandyのコンセプトバンドであったバンド初期から、Sandyの影響から離れた時期を経て、2020年リリースの最新作 The Symbol Remainsまで継続されていったのです。

Blue Öyster Cultの歌詞はわかりやすいか、わかりにくいか?と問れば、わかりにくいと私は答えるでしょう。しかし、このわかりにくさこそがコアなファンには面白い!と思える要素なのです。そこから紡ぎだされる世界は万華鏡の先にあるようなもの。レンズを覗く度に、手をくるくると動かす度に違った画像がみえる世界。私は Blue Öyster Cultの曲を聞く度、何十年の付き合いですが、そのように感じます。奥が深くてわかりづらい。つまり、その都度、印象が違うのです。S.F.、オカルト、シュールレアリズム、ラブクラフト、伝統的な西洋の死生観、聖書、フォークロアと様々なエレメントが散りばめられた万華鏡のような世界なのです。だからこそ、長年聞いていても飽きないのです。「知性派のヘヴィ・メタルファン」には、深く練りこまれた知的な世界観から紡ぎだされる、わかりにくい歌詞がお似合いではないでしょうか?思考を好むロックファンには、 Blue Öyster Cultのコンセプトはうってつけではないか?ということです。

別の言い方をすれば、 Blue Öyster Cult の独特な世界観に興味がない方には「何を言ってるのか全然わかなない」「妙なバンド」程度の認識になるでしょう。管理人は、基本的にロックの歌詞には興味がないしこだわらないという考えです。毎日がパーティーでウェーイ!な歌詞でも、高尚なS.F.でも、近所の酒場の話でも、なんでもいいのです。歌詞に深い興味を持ち、詩集までを購入したバンドはいままで2つだけ。ジム・モリソンのドアーズと、ヘヴィ・メタルのクイーンズ・ライクのみ。歌詞に興味を持てないロックファンの気持ちはよくわかる、とここで申し上げておきたいです。

元の話に戻ります。S.F.、オカルト、シュールレアリズム、ラブクラフト、伝統的な西洋の死生観、聖書、フォークロアなどを基にしたバンドの独特な世界観を表現するわかりづらい歌詞は、個性を際立たせるものでした。それは2020年にリリース最新作でも継承されています。前々記事で述べた多彩な音、そして本記事でご説明している知的で難解な歌詞。この2つがバンドのメインの個性だと私は考えます。そして3つ目の特徴、これは、 Blue Öyster Cultを Blue Öyster Cult としている最も特徴的なものだと管理人は考えますが、また追って語っていきたいと思います。

コメント

タイトルとURLをコピーしました